僕の街には今日も雨（涙）が降る…。
　そして、優都が倒れる本の数分前に飛夏羽と保梓は重要な事を話し合ってい
た。

「そんなんじゃありませんって！そんなの…一体何処で？」

　飛夏羽は本気で保梓に訴えていた。
飛夏羽が訴えていた理由はこうだ。
保梓が優都と別れた理由を聞いて来たからだと言う。

「…もう…優都とは…優都君とは…何の感情も…」
「無理して笑顔作っても誰も嬉しくないわよ。如何して自分の中にある本当の自
分を輝かせようとしてあげないの？」

　本当の自分…それは自分の心の奥底に眠っていた。
本当の自分を輝かせない限り、人間は次には進めないのだ。

　保梓は飛夏羽に色々と語っていた。
人は死んだ後、星になって輝き続け、そしてまた生まれ変われると言う事を。

　飛夏羽が黙り込んでいるとコンコンと音がして李麻が飛び込んできた。

「姉ちゃん！優都が！」
「優都君がどうかしたの？」

　優都の名前を聞いた瞬間、飛夏羽の胸が高鳴った。
飛夏羽は俯いて李麻の言葉を待っていた。

「優都が熱出して倒れちゃったの！早く来て！」
「優都君が？分かった。直ぐに行くわ。…飛夏羽ちゃん、如何する？一緒に…」

　保梓の言葉を遮る様にして飛夏羽は思い切り首を横に降った。

「…そう、分かったわ。無理に来いとは言わない。だけどもしも気があったら来
てね。」

　保梓は李麻を連れて急いで相談室を出て行った。

　保梓達が出て行ったあと、何故か飛夏羽の目からは涙が零れ落ちてきた。
飛夏羽は唇を噛み締めて泣くのを我慢しようとした。

　丁度その時、携帯電話の着信音が鳴り出した。

　飛夏羽はポケットから携帯を出し、通話のボタンを押した。

「…もしもし？」
「飛夏羽か？俺だよ。」
「…翔太？」

　電話の相手は翔太だった。

「今から帰れるか？」
「…うん。丁度良かったかも…」

　飛夏羽はそう言って電話を切ると二階の窓から逃げ出した。
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表紙・目次

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