僕の街には今日も雨（涙）が降る…。
　翔太は飛夏羽を自分の部屋に連れてきてベッドに座らせた。

「…翔太！何で私なんか…」

　翔太は飛夏羽の口を塞いでポケットからナイフを取り出して飛夏羽に握らせ
た。

「…持ってろ。これからどうなるか分からない。」
「でも…」

　焦っている飛夏羽を落ち着かせるように翔太は飛夏羽を強く抱き締めた。

「…自分の身は…自分で守るしか無いんだよ…家族も…何も関係無い…」
「…翔太…」

　飛夏羽は翔太を優しく抱き締めた。

　飛夏羽に抱き締められた翔太の目からは涙が零れ落ちていた。

「…翔太？如何したの？」
「…あ、わりぃ…何でも…無いよ…ごめん。戻って良いよ。」

　翔太は無理矢理涙を拭いて立ち上がると飛夏羽の背中をそっと押した。

「…無理…すんなよ。」

　翔太の笑顔は切なく見えた。

　飛夏羽は頷いて翔太の部屋を出て行った。

「…ふぅ…」

　翔太はベッドに座り、右側のポケットから注射器を取り出した。

「…これしか…俺の生きていく方法は無いのかな…」

　そう呟くと細い針を自分の腕に突き刺した。
腕からは血が流れ出し、注射器に入っている謎の液体はどんどん翔太の体に入っ
ていった。

「…くすっ…面白い事になりそうだぜ…」

　既に翔太は飛夏羽と喋っていたときの翔太ではなくなっていた。

　これのせいで翔太は何時も性格が違っていたのだった。

「…はぁ…私…これから如何すれば良いのかな…」

　飛夏羽は溜息を吐いてベッドに寝転がった。
目からは涙が零れ落ち、飛夏羽はそれを無理矢理拭いた。

「…ひっく…誰か…お願い…助けて…」

　今の飛夏羽に、助けを求められる人は居ないのだ。

　一人で解決しなくてはいけないと、飛夏羽はそう思った。

　朝になり、飛夏羽は鞄を持つと家を飛び出していった。
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表紙・目次

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