僕の街には今日も雨（涙）が降る…。
　男の子の声が聞こえた瞬間、右方に居る男たちが次々に倒れて行った。

　何と其処に立っているのは竜牙達だった。

「…橋口君？」
「お前等！掛かれ！」

　竜牙の一言で、数百人は居るであろう手下達が一斉に男たちに飛び掛って
行った。

　竜牙が一人飛夏羽に近づき、男を殴り倒した。

「橋口君！何で…」
「逃げろ飛夏羽！ここは俺達が何とかする！」
「でも…」

　戸惑う飛夏羽の背中を竜牙は思い切り押した。

「橋口君…皆…ありがとう。」

　飛夏羽は零れ落ちそうになる涙を拭き、新達の空けた空間を走り抜けて行っ
た。

「ミャー！」

　子猫も急いで飛夏羽を追いかけて行った。

「飛夏羽様覚悟！」
「きゃあ！」

　近くに居た男が飛夏羽に襲いかかろうとした瞬間、一人の高校生がその男に
飛び乗った。

「あ、ありがとう…」
「おう！」
「えっ…緒方君！？」

　その高校生は零だった。
零は白い歯を出してにっと笑い叫んだ。

「行ってよ飛夏羽ちゃん！」
「…うん。」

　飛夏羽は頷いて走って行こうとした。

「っ…！？しまった！Ａ班は飛夏羽様を追いかけるんだ！」
「げっ！？班とかあんのかよ！」
「最悪じゃん…」

　左方に居た男達が声を上げて飛夏羽を追いかけて行った。

「退け！」
「お前の相手は…この俺だよ！」

　竜牙と男が取っ組み合いを始めた。
リーダー対リーダーの激突だ。

　一体勝利の女神はどっちに微笑むのだろうか。

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表紙・目次

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