wish-pray-cometrue

-金曜日

仕事を終え、知り合いのバーに飲みに行こうと思い立ち会社をでた。

週末のせいかいつもより人が多かった。


カラン-

店のドアをあけると見慣れた顔が目に入る。

「いらっしゃい。今日も1人?」

おどけたような、少しバカにしたような表情で話しかけてくるのはマスターだ。

「うるさいわね。どうせ今日も1人よ。それにしても、週末だっていうのに相変わらず暇そうね。」

負けじと少し嫌味を付け加えて返す。

「別にいいんだ。こうして来てくれる馴染みの常連さんがいるんだからね。」

そんな爽やかな笑顔で言われたら、返す言葉もない。

そう思いながらカウンターに座る。

「いつもと同じでいいかい?」

そう聞かれて頷くとマスターはカクテルを作り始める。

待つ間見慣れた店内を見渡す。

少し暗く落とされた照明。

決して新しいとは言えないけれど

綺麗に掃除され

隠れ家的な雰囲気を醸し出すこの空間が

とても好きだった。

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