怖い夢
「ママ!どこー?マァーマァー!」
精一杯叫んだ。
でも、私の声が暗闇に吸い込まれただけ。
自販機の稼動音だけが、静かに響いているように感じた。
じゃり…
ざり…
じゃり…
足を引きずるような音がした思ったら、向こうから大きな体が現れた。
毒々しい青
黄ばみ、傷付いた角
嫌な臭気
尖った耳に、裂けた口
鬼だった
「ひ、ぃっ」
私は驚いて、息をひゅっと吸い込んだような声を上げた。
「ママを探しているのか」
その声は低く、重たい声。
男性のそれとはまったく別物だった。
怖い。
「ま、ママをしってるの?」
「知っている。隣にいるだろう」
鬼の隣を見ると、暗闇の中から突如、ぼぅっと影が現れた。
まさしく探していたママだった。