PEACE


* * *

見たことのない景色だった。

ファルコの後を追いかけ通った迷路のような小道は、いつも通る大通りよりも暗くて狭い。

(こんな道がこの町にあるなんて知らなかった……)

自分の住み慣れた町に、まだこんな場所があったのを初めて知り、奈久留は冒険している気分になり、小さく笑った。

すると、突然周りの景色が変わった。

どうやら街外れに来てしまったらしい奈久留の目には、一面の草原が広がっていた。

「わぁ……!」

爽やかな風が、奈久留の横をすり抜けた。

見渡す限り広がる緑は、城のように人工的に作られた庭とは違い、草も生き生きとしてみえた。

「キュ!」

緑に耽っていると、向こうでファルコの声が響いた。

「ファルコ?」

まるで奈久留を呼ぶようにファルコは振り向いたが、そのまままた走り出してしまう。

「ちょっと! ……待ってよ!」

奈久留を無視し、ファルコは草原の先にあるバラ園らしきもののアーチをくぐり抜けてしまった。

急いでその後を追う。

ファルコと同じように、奈久留もバラ庭園のアーチをくぐり抜けた。

「…………え?」

たどり着いた先は一つの古城だった。

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