PEACE
「なっ、何!?」
「城下街からだ!!」
雪夜と奈久留は急いで小屋から飛び出て、丘の下にある街を凝視した。
恐怖を訴えるようなの叫び声。
嘆き狂う人々。
2人の目に飛び込んできたのは、街の建物が炎で燃え上がり、あちらこちらで煙から逃げまとう人々の姿だった。
「これは……」
雪夜はただ唖然としていた。
あまりのショックで声が出ない。
奈久留の中で、何かが攻めぎあう。
この感情が恐怖なのか、哀しみなのか、それは奈久留自身にもわからなかった。
早く騒ぎを止めなければ。
ここでただ見ているべきではない。
自分が今、何をすべきなのか。
奈久留は唇を強く噛みしめた。
「おい!」
雪夜は咄嗟に叫ぶ。
だが、奈久留の足は考えるより先に、城に向かって走り出していた。