PEACE
「どうか二人に神のご加護を……」
二人がいなくなった静かな宮殿の中で、祖父の言葉だけが響き渡る。
「それで、もう終わったつもりですか?」
祖父しかいなかったはずの宮殿に、突如もう一つの影が現れる。
「お前達は、何が目的なんじゃ……」
「そんなの、わかっているはずですよ? 貴方は、全てを知っているはずだ」
意識が飛びそうな中、祖父は気を振り絞って問いかける。
もう一つの影は、静かに笑い、こう告げた。
「復讐ですよ」
血が、再び飛び散った。
男の下には、力なく倒れた祖父の姿が、無残にもあった。
「どこまで逃げられるとお思いですか? ……ねえ、姫様?」
内国は燃え上がっていた。
まさにそれは、地獄絵のように
赤く、
赤く、
赤く、
赤く、
揺らめく陽炎のように、国全体を包み込んでいた――。