PEACE

* * *

『瀬裡は、屋敷の地下にいるはずだ』

その言葉通り、奈久留達は地下に向かった。

瀬梛のお陰なのか、今まで数人見張りに会った程度で、無事に地下にたどり着くことが出来た。

(ここに、瀬裡さんがいるんだ)

緊張で息を呑む。

静かな地下で、奈久留と雪夜の足音だけが響き渡る。

その時。

一つの鉄格子で閉ざされた部屋が目についた。

その部屋には、体を鎖で吊されて気を失っている、瀬裡そっくりの女がいた。

「瀬裡さん!?」

奈久留が声を上げた。

その声が聞こえたのか、瀬裡はゆっくりと目を開ける。

「あな、たは……?」

「私は奈久留です! 瀬梛さんに頼まれて、貴女を助けに来ました!」

「瀬梛が……?」

「はいっ」

瀬梛の名前を聞き、瀬裡が安堵したのがわかった。

「逃げて!!」

突然、瀬裡が奈久留達に向けて叫んだ。

だが、その時には遅く、奈久留と雪夜の首には剣が向けられていた。

そこには、いつかの瀬梛を襲ったあの刺客の男がいた。

「残念だったな。お二人さん」


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