PEACE

* * *

「私を、どうするつもりだ」

瀬梛は言った。

「待っていれば、時期にわかる」

何度問い掛けても、返ってくるのはその答えだった。

――トントンと、部屋のドアが叩かれた。

「入れ」

町長の声を合図に、扉が開く。

入ってきたのは、剣を首に突き付けられた奈久留達。

そして、瀬裡であった。

「さあ、瀬梛よ。ここで今、イヤリングを渡さなければ、お前に協力したこやつらと、最愛の妹の命はないぞ? ……まあ、妹はどちらにしろ、暗黒ノ世界に送るがな!」

「瀬梛……!」

瀬裡が瀬梛の名を呼ぶ。

瀬裡は随分と痩せていた。

(どうすれば……!)

瀬梛は歯を食いしばる。

自分の不甲斐無さに、後悔をした。

「俺達の存在を忘れて貰っては困るな」

瀬梛は顔を上げた。

すると、雪夜と奈久留は首に剣を突き付けられているにもかかわらず、相手の腕を掴みあげ、それぞれ相手を倒したのだ。

「な、何をしている! 取っ捕まえろ!!」

町長は雇った男達に命令を下す。

一斉に男達が二人に飛び掛かる。

だが、奈久留と雪夜はそれをかわし、次々と隠し持っていた剣で男達を倒していく。

「くそっ! こっちに来い!」

「キャ!」

瀬裡を捕らえていた男が、騒ぎから抜けようと部屋から出てようとする。

その姿が目に入った瀬梛は、自分の体を押さえ付けていた男達を振り払い、瀬裡を追い掛けた。
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