PEACE
「これは……」
瀬梛が、感嘆のような声を出した。
奈久留もその声につられ、顔を上げる。
「え……?」
立ち塞がっていたのは大きな翼。
奈久留達を見下ろすように、優しい眼差しを向ける瞳。
神々しいその大きな翼のある獣が、奈久留達の側にいた。
だが、奈久留はそれが何なのか、それが誰なのかがすぐに分かった。
「ファルコ……なの?」
奈久留は迷わずそう言った。
「な、なんだこれは!」
男達の困惑の声が部屋に広がる。
「う、うわぁぁあぁああ!」
次々と逃げ出す男達。
「お前達! 金を払って雇ったのに主を守らんとはなんだ! 逃げるなぁ!」
男達にそう叫ぶが、虚しくも部屋には町長一人が残っていた。
「観念しろ」
町長が気付いた時には、雪夜が町長の後ろを取っていたのだった。