PEACE
* * *
「本当に助かった。お前達には感謝する」
町長を取り押さえ、気が付くとファルコは元の姿に戻っていた。
そんなこんなで一段落着いたところで瀬梛が言った。
「ご迷惑をおかけして、申し訳ございません」
そして、瀬梛の横には無事に解放された瀬裡がいた。
「そんなっ。お役にたてて、本っ当によかったです!」
笑顔で返す奈久留だったが、その表情にはどこか苦さがあった。
「ペンダント……か?」
「えっ」
側にいた雪夜が問い掛けた。
「やっぱり、大切なものなんですね……」
瀬裡が眉を寄せて言う。
そんな瀬裡をみて奈久留は心配されまいと明るく振る舞う。
「大丈夫です! 気にしないでください!」
「それ、奈久留の両親の形見なんだろ。本当に大丈夫なのか?」
「それは……」
雪夜に突っ込まれ、やはり悲しさが再び訪れる。
「確かにショックだったけど仕方ないよ。それに、守るために使ったんなら、お母さん達も許してくれると思うし」
胸にしまってあるペンダントのカケラをおさえ、奈久留は微笑んだ。