PEACE
「瀬梛……」
「わかってるよ」
瀬裡が瀬梛に何かを伝えた。
たった一言。
名前を呼んだだけなのに、以心伝心しているところは流石双子だ。
「奈久留、ペンダント出しな」
「え?」
瀬梛は一歩前に踏み出し、奈久留に手を差し出した。
疑問に思いながらも、奈久留は胸にしまっておいたペンダントとカケラが入った
巾着のような袋を差し出す。
「瀬梛、石は取って」
「わかった」
瀬裡は瀬梛に指示を出すと、瀬梛はその通りに従う。
奈久留から受けとった袋から、石だけを奈久留にまた返し、他のカケラを自分の
手の平にのせて握る。
すぅ、と瀬梛は空気を吸い、静かに目を閉じる。
すると、周りの空気が変わった。
それはまるで、周りの気が瀬梛の手に集まってきているように、光りだしたのだ。
いきなりのことで、言葉を無くし、絶句して数秒後。
光りはおさまった。
(なに? 今の……)
「ほら」
瀬梛が“それ”を奈久留に見せる。
「なっ、なんで!?」
ペンダントが、元の姿に戻っていた。
「あんなに粉々だったのに……どうして?」