PEACE

「瀬裡だけ不思議な力を持っているとは、私は一言も言ってないぞ」

悪戯な笑みを瀬梛は浮かべた。

「……なるほど。双子だもんな。妹が力を持っているなら、姉だって持っていてもおかしくない」

「そういうことだ。私の力は再築みたいなものだ」

鼻を高くする瀬梛。

いつまでも威張っている瀬梛に、瀬裡はやさーしい笑顔を向ける。

その顔を見て、瀬梛は高笑いを止めた。

「そういえば、この石って何なんだろう」

瀬梛と瀬裡に言われ、再築の際に混ぜなかったこの石。

ペンダントの中に仕込まれていたようだが、全くもって何なのかわからない。

「それは秘菜石ですよ」

「秘菜石…………?」

どこかで聞いたことがある言葉だ。

(ひなせき、ヒナセキ、雛石、卑名石、…………秘菜石?)

何度も頭の中を巡る。

――『最初に秘菜石を探すんだ』

(あっ!)

そして、たどり着いた。

「奈久留さん、探していたのでしょう?」

「なんでそのことを……」

秘菜石のことは誰にも話していない。

なのに何故……。

「私は魔女ですから」

笑って瀬裡ははぐらかした。

本当に読めない人だ。

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