千恋 第1部

………

誰も話さない…

「…あと何分で来る?」


「…10分」


……あと10分…

「ちょっと待ってて!」

翔也が走ってどこかに言ってしまった。

「…本当に帰っちゃうの?」

「………うん」

……せっかく仲良くなったのに…

「…さみしくなるよ?」

「………うん」

……せっかく友達になったのに…

「もう1日ぐらい泊まっていってよ…」

「……ありがとう」

…困らせちゃダメだ。

「…嬉しいよ、そんな事言ってくれて…でも帰んないとね」

直基は優しく笑う。



電車が来た。

翔也…早く戻ってこなきゃ…


「じゃあね、唯…風邪ひくなよ…翔也と仲良くな」

「……うん…」

直基は電車に乗ってしまった。









「直基ーー!」

翔也が全力で走ってきた。

「翔也!?」

「…直基…これ持ってけ」

そう言って翔也は直基に何かを投げた。

「おぉ!!じゃあ!!」


「バイバーイ!!」

私はおもいっきり手をふった。

……電車が見えなくなるまで…

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