千恋 第1部
今日で2学期が終わる。
明日からは冬休み。
楽しみだなぁ…宿題を除いては!
ゆっくり眠れる。
「坂田君と春香ちゃん何話てんのかな?」
いきなり紗希が話しかけてきた。
「うわっ!びっくりしたぁ、翔也が春香ちゃんと?どこ?」
私は教室を見回した。
「ほら」
…本当だ。
「気になるねぇ」
紗希が目を細めて言う。
「別に、気になんないよ!関係ないし…」
私はちょっとムキになっている自分に気づいた。
「…唯…好きなんでしょ…坂田君の事。」
紗希はゆっくりとした口調で私に聞いた。
「……わかんないよ。」
この気持ちを声に出して言うのが怖い。
「素直になれば?」
……私は何秒か間をおいてから口にした。
「……好きだよ…」
その言葉に紗希は優しく微笑んだ。