千恋 第1部
「そういえば、唯もうすぐ誕生日だね!」
あ、本当だ…
「忘れてたわぁ~」
自分の誕生日を忘れてたのは生まれて初めてだった。
「お祝いしようね♪」
「ありがとう!」
私はいい友達がいて幸せだな…
「坂田君は唯に何くれるかな?」
そっか…ていうか翔也、私の誕生日知ってるのかな?
「…期待してないよ」
「とか言って~」
バレンタインデーのお返しは-3度の地方限定CDだった。
いらないっつの…
翔也は『レア物だ』とか言っていばっていた。
何かくれるかな?
普通は指輪とかネックレスとか、ロマンチックな物くれるんだよなぁ…
『何が欲しい?』
なんて聞かれて
『あなたがいてくれればじゅうぶん♪』
……そんなカップルもいるけど…
~唯、妄想中~
『何が欲しい?』
『翔也がいればそれでいい♪』
『あはっ♪俺も唯がいてくれればいい♪』
『ずっと一緒にいてね♪』
『うん♪ずぅっと一緒にいようなっ♪』
『翔也大好きぃ~』
『俺も唯大好きー♪』
……………きしょい。
甘すぎるだろ、こりゃ…
うん。ない。
これはない。
私は軽く1時間ぐらいこんなくだらない妄想をしていた。