千恋 第1部
「……もう行かなきゃ」
…そうだね。
もう…時間だ。
「……じゃあ行こっか」
まずは、荷物を取りに団地に戻る。
201号室……
また空いちゃうね…
「荷物取ってくるから待ってて!」
団地につくと、翔也は急いで階段をのぼった。
「唯!!」
ん?
翔也が部屋の窓から私を呼んだ。
「何ィ~?早くしてよ」
翔也はニコニコ笑っている。
私もそれに笑顔を返した。
「準備できたぁ!!」
少し大きめのバックを持って、翔也が階段をおりてきた。
「……行こ…」
「うん」
翔也は一瞬、団地を見上げてから歩きだした。