千恋 第1部
「……ハァ…ッ…」
家を飛び出した私。
息切れするほど全力で走る。
行き先……
……わからない…
でも何でか足が“あの場所”に向かう。
すべての始まり。
海。
砂浜を見渡す。
翔也はいないってわかっていても……
必死で……
会いたいから…
ただそれだけの為に…
久しぶりの涙。
あの頃の私に逆戻り。
何をしに海に来たの?
そう聞かれると答えられない。
もしかしたら、少し期待してるのかも……
翔也が“ここ”で待ってるって…
ありもしない事。
現実を見つめる事のできない弱い私……
泣く事しかできない…
弱い私…