千恋 第1部


朝になった。


「……10:00か…」



翔也はまだ寝ている。


「…翔也ぁ!起きろ~」


私は小声で言った。




「…………」


やっぱ起きないっか…





「……あ?…うん…おはよー」



起きるんかい!!




「今日は起きるの早いね…ってもう10:00だけど…」





「………俺……帰んなきゃ…」


翔也が静かに…

寂しく言った。





「……そっか…帰る準備できてる?」




「…うん」




部屋の隅っこに置いてある翔也の荷物。




「……送るよ…」




「………うん」







今回はもう……



涙は出なそうだ。


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