千恋 第1部

<翔也>


―ガタン―ガタン―



電車の中は外と違い暖かい。


この休みに、久しぶりに唯に会った。

なんだか強くなっていた。


俺は1人、
取り残された気分。

“置いてくなよ”

そう思った。



最後に唯がくれた物。

クッキー。

手作りっぽい…

こんなんいつ作った?


勉強はイマイチだが、料理だけは出来る…



そんな意外なとこにも俺はもってかれる。





……腹へった…



唯が作ってくれたやつ…食べるか…



クッキーの袋を開けるとバターの優しいにおいがした。


うまそう…


1つ口に入れる。




「…やっぱうまい」


素直な言葉が出てしまった。


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