千恋 第1部
鞄の中からケータイを取り出す。
翔也に電話をかける。
今大丈夫かな?
―プルプルプル―
呼び出し音が続く。
『……もしもし?』
1番聞きたかった声。
柔らかくて…
私を包んでくれる。
『……翔也?唯だよ』
『……軽く久しぶりだね~』
『うん!今日ね、入試だったんだよ!!』
『知ってるって…昨日もメールくれたじゃん』
『……そっか…』
声を聞くだけで安心できる。
今の私にとって、翔也は大事な存在。
こんなにも人を好きになった事はないって…
自信をもって言えるよ。
全部、翔也が教えてくれた。