千恋 第1部
翔也の恋
バスを降りた。
後ろには翔也がいる。
いつもは楽しく喋りながら帰るけど、今日は何も言わない。
…私がこんな雰囲気にしたんだ。
何も話さないまま団地についた。
「…唯、元カノの事なんだけど…昨日久しぶりに連絡してみたんだ。唯に言われて気づいた。遠すぎて会えないけど、今の気持ちを言った……」
……それって…
あの子に告白したって事?
「それでさ、俺らまたやりなおす事になったんだ…」
……また、付き合い始めたって事?
「だから、唯…ありがと!唯が言ってくれたから、またあいつと付き合えるんだよ!!」
私は…どうすればいいの?
また、怒る?
「…よかったね!」
今の精一杯の笑顔で言った。
「うん!唯のおかげだよ!本当ありがとね。」
……翔也が幸せ…
『それならいい』なんて言えるほど、私は大人じゃない。
ただ、
こんな関係がずっと続くなら、私は我慢してでも…笑っていたい。