千恋 第1部
席替え
翔也がこっちに来て約1ヶ月。
このクラスにも馴染んできた頃。
…教室はいつも以上に騒がしい。
そう。今日は月に一度の席替えの日。
みんなが願を掛けてクジを引いていく。
そこまでして誰の隣になりたい!?
…私の番がきた。
(紗希の隣になれますようにっ!)
自分も願掛けてる…
『18』…18…18…18……
あ、あった。
真ん中の列、後ろから2番目。……微妙。
紗希は入り口の前から3番目。
遠いじゃん。
そんな中、女子の嬉しそうな声が聞こえた。
『ああ!うち翔也君の後ろだぁ…やっぱいい香りとかするのかな…♪』
『いいなぁ、アタシなんかめっちゃ遠いしぃ』
……楽しそうだな…。
そこはちゃっかり小声かい。
翔也の席は窓側前から2番目。また窓側かよ!!
運よすぎじゃい!!
あり?
翔也の周り全部女子なんだけど…
あいつらクジに細工したんじゃねーの?!
まぁ別にいいや。
楽しい席替えの時間も終わり休み時間になっていた。
次の授業は社会。
私は机の上に教科書を置いて紗希のもとへと向かった。