千恋 第1部
そこには、翔也の他に、2人知らない男子がいた。
「おっ!この子が唯ちゃん?」
1人の男が言った。
そいつは動物に例えると……ライオン…
キレイにセットされたキャラメル色の髪…でも案外可愛い顔をしている。
「え?何?」
私は軽く混乱していた。
「ゴメンね、俺等翔也の前の学校のダチ。」
もう1人の男が言った。
……この人は…
なんていうか…優しそうな顔してる…
けど、女関係がキツそう…
「俺、直基!伊井田直基!よろしくね!」
ライオンが言った。
「あ、俺は安藤蓮。よろしく」
女関係のキツそうな男が言った。
「私、岡野唯です…よろしく…」
翔也は何故か嫌そうな顔をしている。
「翔也やるじゃん!」
ライオンが…じゃなかった、伊井田君がはしゃいでいる…
「なんで……伊井田君と安藤君がここに?」
私はおそるおそる聞いた。
「翔也がさみしがってると思って遊び来た!」
ラ…伊井田君が言う。
「…東京から?」
「うん」
えぇぇ?!
東京からここまでって!相当遠いじゃん!
お金とかは?
ちょっと…
「まぁ、座れよ!」
伊井田君はあたかも自分の家のように言った。
「こっちおいでぇ~」
ライオンに言われ、私はライオンの隣に座った。
あ、間違った、伊井田君…
「唯って呼んでいい?」
伊井田はお喋りだ…
「おい、直基、仮にも翔也の彼女だぞ?」
安藤君が言った。
「大丈夫だって!」
え?何が?
大丈夫?
でも伊井田君は悪そうな人じゃない。
「…いいよ」
「ったぁー!じゃあ、俺の事も直基って呼んでね」
「うん」
その時、
少しだけ翔也に見られた気がした。