【短】ぬいぐるみ作り
確かに志紀の可愛い妹ちゃんのためだってわかってる!
本当に力になりたいって思う。協力したいって思う。
でも……。
横目でちらっと志紀を見る。
ただ黙々と、作業を進めている志紀。
……本当は今日、デートやったのになあ。
ちょっと不満を持ってるのも、事実だったり。
でも、志紀は。
「なあ志紀、ここでけへん」
「そこの本見て何とかしいや」
「志紀ー、暑ないの?」
「暑いんやったらクーラーつけてええよ」
……私の『かまって欲しい』アピールに、何も気づかない。
思わず膨れっ面。
でももちろん志紀は、気づかない。
……なんやねん。
もうちょっと私にかまってくれてもええやんか。
志紀の妹ちゃんに、
いや、
そのぬいぐるみに、私は嫉妬していた。
そんな私って、心狭い?
嫌いになる?
ゴメンな志紀……こんな我が儘な彼女で。
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