好きの気持ち【短編】
……とうとうこの恋も終わりかぁ。
まるで人事のように思う。
涙も出ない。
こうゆうときって自然と泣いてるものだと思ったけどそうでもないみたい。
けど……
胸の奥がこんなにも苦しい。
締め付けられてるみたい。
これでやっと、忘れられる。
「雫……?」
背後からの声に身体が震えた。
「涼……」
「やっぱ雫だ。お前全然変わってねー」
さっき遠くですれ違った2人が引き返してくるなんて考えてなかった。
驚きなのか久しぶりだからか言葉が続かない。
「え、うん…ホント久しぶりだね」
「なんだよ。もっと他に言うことないのかよ」
冗談っぽく笑いながら言う少年の姿は昔のまま。
そんなことも深々と考えられないくらい私は彼の隣の少女が気になっていた。