波乱LOVE■番外編2■~俺様悪魔をフッた場合~
「大雅のおらん学校なんて…… 」
泣いてるせいで、顔も声もぐしょぐしょで。
聞き取ってもらわれへんくらいの声やけど。
「なんで、お前が泣くねん」
「だって…… 大雅がおらんとか…… ありえへんし」
「なんでやねん。杏奈は俺がおらん方が幸せになれる。俺が嫌なことばっかりしてきたから。今さらやけど、後悔してる。ごめんやで」
違う。
違うねん。
大雅、そうじゃない。
私は、涙をジャージャー流しながら、上目遣いの大雅に近付いた。
「ちゃうもん。ちゃうもん……」
「何がやねん。お前は、わけわからんやっちゃ。お前が俺のこと嫌いになって、逃げたんやろうが」
ベンチに座ったままの大雅が、手を伸ばす。
私の手に。
「お前はもう自由なんや。俺のことなんか気にせんと、幸せになればええねん。あのコーチやったら、杏奈のこと大事にしてくれるわ」
握られた両手。
大雅のあったかい手に包まれた私の手が、泣いてる。
離れたくないって泣いてる。
私に必要なのは……
この手や。
コーチやない。
誰でもない、この大雅の手なんやで。