波乱LOVE■番外編2■~俺様悪魔をフッた場合~



「大雅のおらん学校なんて…… 」




泣いてるせいで、顔も声もぐしょぐしょで。


聞き取ってもらわれへんくらいの声やけど。




「なんで、お前が泣くねん」



「だって…… 大雅がおらんとか…… ありえへんし」



「なんでやねん。杏奈は俺がおらん方が幸せになれる。俺が嫌なことばっかりしてきたから。今さらやけど、後悔してる。ごめんやで」



違う。


違うねん。



大雅、そうじゃない。




私は、涙をジャージャー流しながら、上目遣いの大雅に近付いた。



「ちゃうもん。ちゃうもん……」



「何がやねん。お前は、わけわからんやっちゃ。お前が俺のこと嫌いになって、逃げたんやろうが」



ベンチに座ったままの大雅が、手を伸ばす。


私の手に。




「お前はもう自由なんや。俺のことなんか気にせんと、幸せになればええねん。あのコーチやったら、杏奈のこと大事にしてくれるわ」



握られた両手。


大雅のあったかい手に包まれた私の手が、泣いてる。


離れたくないって泣いてる。






私に必要なのは……


この手や。




コーチやない。


誰でもない、この大雅の手なんやで。





< 26 / 36 >

この作品をシェア

pagetop