波乱LOVE■番外編2■~俺様悪魔をフッた場合~
私の選択
私は大雅への想いを断ち切るように、車に乗り込み、乱暴にドアを閉めた。
「今日久保田に元気がなかったのは、アイツのせいやったんやな」
コーチはつぶやくようにそう言って、エンジンをかけた。
オシャレな車持ってて、お金も持ってる大学生。
彼氏にするなら絶対コーチやわって、仲良し4人組の亜子、亜里沙、彩加も言ってた。
でも、私……
彼氏が欲しかった?
彼氏が欲しくて、恋をしたわけじゃない。
恋なんかしたくないのに、アイツに惹かれてしまっただけ。
「ごめんなさい。コーチ…… 私は、バレーに青春捧げたいんで、デートとかは無理です」
ロボットみたいに無表情の私を見て、コーチはケラケラと笑った。
「そんな堅苦しく考えんでええねん。俺はバレーに燃えてる久保田が好きやねんから。そのままでええよ。デートだって無理にしてとは言わんよ。ただ、久保田のそばにおりたいっちゅうか、俺が支えてあげたいって思う。迷惑か?」
迷惑か?って言いながら、私の顔を覗き込むコーチの顔。
なんやろう。
この気持ち。
同情っていうんじゃないけど、なんかかわいそうに思えてきた。
「迷惑じゃないけど」
「じゃ~、決定! いちおう、今から俺の彼女ってことで」
トントン拍子に進む。
私は止めることもできずに、助手席で黙って座ってた。
止めようと思えば止められたんかもしれん。
私は、コーチの優しさに逃げた。
好奇心ってのもちょっとはあったんかもしれんな。
ちょっと大人の男の人に、おもいっきり優しくされるのってどんなんやろうって。