ジェイド・ハミルトンの日記
颯太 1
「じゃあ、ふたりとも元気で」

「あぁ。君も気をつけて」

「忘れちゃダメよ、颯太。困った時は、おまじないよ」

 いつもと同じ別れだった。
なにひとつ特別なことはせず、僕はその家を後にした。
無事に。

 角を曲がり立ち止まり、塀にもたれて息をついた。
空を見上げた。
月なし夜。
輝く星。

 夢を掴む旅に出る。
あの銀河を超えて、僕は遥かな時間の旅をする。

 ジェイ。舞。

もう会えなくなるかも知れないのに、僕はあの星空を選んだんだ。
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