ジェイド・ハミルトンの日記
「変わっていないでしょう?」

 いつの間に横に来ていたのだろう。

強い風に髪を押さえながら、少女はどうしてだろう、心配そうにそう言った。
陽に眩しいくらいの白い服を着て、真っ直ぐに海に目を向けている。

 郷愁。
なにに対して? 
変な気分。
こんなことが前にもあった。揺らぐことのない記憶の中に、今の一瞬と同じ瞬間が。

「そう言ってた。パパとママが。ずっと変わっていないって。どう? ほんとう? あなたの知っているあなたの記憶と同じ、あなたの海?」

「あぁ……」
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