僕等の日々
―翌朝。

俺らがあの入学早々荒れた学校へ渋々向かっていると、門の前に見知らぬ人間が何人か立っていた。

生徒会か……。面倒だな。


「アレ?何で門の前にいんだろ。ね、ミカミちゃん」
「締め殺すぞ。多分、生徒会の輩がやってる地獄の演説の前触れだろ…?」


……ああ、現実を見るのが嫌だ。
演説の、前触れ。
進行役すらやるのが嫌なのに。

「おはようございます」
「?」
「…ぁ"あ"?」(←ミカミ


門をくぐり抜ける直前。

横から、女声がした。女声っていっても、平均より少し低めで大人っぽい声だったが、口調はそれを感じさせないくらい明るいもんだった。
残念ながら、俺は声フェチでもなんでもない。

女だとて俺の道を阻むのは許さない。


「…おはようございます、G組の神崎君、涼河君」


その女は、俺らに向かって笑って挨拶した。胸元には《生徒会新副会長》の名札がしてある。
……胸くそ悪ィ。


「何で名前知ってんの?」
「え?」


雫が女に聞いた。生徒会副会長なんだから知ってて当たり前だろうが。


「知ってて当然でしょ?」
「…はっ?」


ほらな。


「副会長だもの。知ってて当然」
「…副会長、ねぇ…」
「うん(^^)」
「…おい、副会長サンよぉ…」


イライラして低い声が出た。雫を押し退ける。雫のあの顔からして、俺の目つきは悪いんだろうな……。


「何で俺らに進行にしたんだよ?…どんだけめんどくせぇ行事かしんねぇけどな…俺らに文句があんなら聞いてやるから今言えよ」
「…ミカミ…!!」


「―…文句はないよ」
「…!?」
「あ"?」

てめぇらなんざ相手にしてられるほど、俺らは暇じゃねぇんだ。

雫は驚いたように女を見ている。
睨む俺を止める雫の両方を見据えると真剣な顔で言った。


「私、何年も不良クラスだったG組にも行事に参加してもらいたくて生徒会入ったのよ。脅されたくらいで、引き下がらない」


……なんだこの女。
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