僕等の日々
「あの…どちら様だ?」


あ、やべ……間違えた。
敬語とタメが混ざった。


「私、二年生よ。二年生の戸張…」


女は素早い動きで唇に人差し指を当てた。


「い・ち・ご★」
「!!!!!!?Σ(°д°;)」

ブチッ


うっっっっ……

ぜぇぇええぇえ!!!!
なんだこの女なんだこの女なんだこの女なんだこの女……!!
あの雫までドン引きじゃねぇか!フジなんかビビってるし……有り得ない!
てかある意味すげえな……。


「雫ー、ミカミー。この人の名前、正確には"いちご"じゃなくて…


"一子"だよ(^▽^)。マジ昭和再来☆」
「ε=(゜ε゜*)プッ」


雫が小さく吹き出す。
この女の名前なんざどうでもいい。
雫のテストの点数並にどうでもいい。


「あら★歓迎してくれるなんて嬉しいっ★」


……黙ってろや。


「あ、それでね?」
「いやまだ何も聞いてないっす(°д°;)」
「君達…」


女は、俺らの雑誌を広げて教室全体に見える様に180゜回転した。
……変人め。


「この雑誌でモデルしてるの、君達でしょ★」
「えぇぇえぇえぇ!!!?Σ(@□@;)」
「(^ー^)…………」


……あーあ。
なんかいきなりバレた。入学式2日目にしてバレた。


俺と雫は、同居する為の家賃と生活費を稼ぐ為にメンズ雑誌のモデルとして働いてる。
ぶっちゃけ、たまたま渋谷ふらついてたらスカウトされ、バイト代わりにちょうど良かったからやっているんだが。


「えっ、ちょ、マジで!?(@□@;)」


フジが慌てて近付き聞いてきた。


「うん、そだよン☆」
「ッチ…言う気なかったのに余計な事してくれたな、この…」

雫の穏やかな視線に気づいて言葉を切った。


「ママンは貴方をそんな性格が知恵の輪みたいな人間に育てた覚えはないわよ!」


……おい。


「…誰が知恵の輪だ、こんちきしょー…」
「え!?聞こえちゃってた!?」
「全部口に出してんだよ(怒)」

ギリギリと死なない程度に首を絞めてやる。
それでも笑ってるこいつが怖い。
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