憂鬱ノスタルジア
それがヴァンパイアの本能なのか
それとも少女が、
"彼女に似ているからか"
どにらにしても欲しいと思った
「俺は10ルソーで買うぞ…!」
「それなら俺は30ルソー払う!」
「50ルソー…!」
少女の値段はどんどん上がって行き、店の主人はニンマリとした笑顔を浮かべる
暫くして300ルソー以上は誰も名乗りを上げなくなった
─300ルソーあれば十分すぎる。
こんだけあれば、楽して暮らせるわい……
主人は300ルソー払うと言い出した男に決めようかと当たりを見回す
「主人、久しぶりだな」
「これはこれは……!
レイン・クロムハート様…!」
なかなかお目にかかれるものではないレインの姿に、主人は冷や汗が止まらなかった
「あの娘を渡してくれ
俺なら1000ルソー出してやる」
この行動には主人だけではなく、シリウスも驚いた
レインは闇市で買い物をすることがないからだ
「おおせのままに…
レイン様………」
レインから1000ルソー入った金貨袋を受け取った主人は
少女が入っている鳥籠の鍵を渡した
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