憂鬱ノスタルジア
鳥籠に近づくと少女はビクビクしながらも、レインを見上げた
その、美しく光る黄金の瞳にレインは見入る
ガチャンという音がして漸く鍵が外れると
レインは鳥籠から少女を出してやり、優しく抱き上げた
─すごく綺麗な人…
いきなり抱き上げられ驚いてしまったが
今までに出会ったことのないほどの美貌と容姿を持ったレインを
少女は揺れる瞳で真っ直ぐ見上げていた
少女を抱き上げると甘く優しい香りが漂う
「俺は、レイン。
レイン・クロムハートだ」
たくさんのヴァンパイアがステージから降りるレインに注目する
「お前の名は……?」
そんなヴァンパイア等の視線に、内心ため息を吐きながらもシリウスの下へ歩き
腕の中で相変わらずビクビクしている少女に、レインは問い掛ける
「ジ、…ジゼル…
ジゼルです………」
「ジゼルか、良い名だ」
名前を呟かれただけなのに、ジゼルはどうしたら良いか解らず俯いたまま
そんなジゼルを黙って見つめたレインは、向こうで待つ馬車に乗るため進んで行く
†