憂鬱ノスタルジア


その言葉に驚いたシリウスだったが、別に何か言うわけでもなく


静かに眠っているジゼルを見つめていた












「マリア、マリアはいないか…?」




「おかえりなさいませ、ご主人様。」



シリウスと別れて屋敷に着くなりメイドであるマリアを呼べば、
すぐに顔を出し頭を下げる


その後ろから、燕尾服を着た白髪の若い青年が歩いて来た




「この子を綺麗にしてやってくれ、熱があるようだから慎重に…」



「解りました、ご主人様」


レインからジゼルを受け取ったマリアは、その体の軽さに驚いたが

表情には表さずに静かにバスルームへ向かって行った






「貴方が人間を持って帰ってくるなんて、珍しいこともあるんですね…」


いつのまにか現れた白い燕尾服を身にまとった青年は、ニヒルな笑みを浮かべながら

レインの脱いだコートを受け取る




「スノウ、何か変わったことは……?」



「いえ、有りません」



スノウのニヒルな笑顔を無視したレインを、気にすることもなく淡々と答える



「ジゼルが目を覚ましたら、俺の寝室に寝かしておけ」


「ジゼ、ル…ですか?」





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