憂鬱ノスタルジア
2.事件の予感
─目覚めたくないのに、また無駄な希望抱いて目を覚ます
2.
─愛されてないのは知っていたの
黒い髪も、この金の目も大嫌い
指をさしては、みんなが怖がって
でも本当は自分が一番怖かった
自分が誰なのかなんて解らないから
「ん―………」
─ここ、どこ……?
目が覚めると、見慣れた鳥籠の鉄格子の中ではなかった
ふかふかのベッド
高い天井
アンティークを貴重にした部屋の家具
自分が着ている服も
汚らしいボロボロの服ではなく
可愛らしいピンクのネグリジェだった
―ガチャッ
扉が開く音がして反射的に体をビクッとさせてしまう
ジゼルが寝ていた部屋に入って来たのは、大きくて黒い猫のような生き物
しかし決定的に違うのは、背中に悪魔のような羽が生えている
「目が覚めたのか、
レイン目が覚めたぞ」
「ああ、わかった。」
奥の部屋からレインの声がするが、今のジゼルには届かない
†