憂鬱ノスタルジア

｢ならいい。｣


怖がってはいるが、ちゃんと口の聞けたジゼルに微笑んだレインは優しく頭を撫でてやる




他人に撫でられたことのないジゼルは、いちいち小さな体をビクついてしまったが

恐る恐るといった様子でレインを見上げてみる



その容姿の美しさからしたら、彼はヴァンパイア何だろうと考えながら














｢クスクス……、ああ
俺はヴァンパイアだよ｣



｢頭の中が読めるの…？｣




考えていた事を見事に当てられ、アタフタするジゼルを

どこか楽しそうに眺めているレインは徐に、ジゼルの頬を指先で撫でる





｢頭の中を読まなくても、顔に書いてある。｣




｢ぁ…………｣





その言葉にジゼルは何だか恥ずかしくなってしまうも、何でもお見通しの気がして居たたまれなくなってしまった














｢私のことを、食べるために買ったの―…？｣



そしてジゼルは、一番聞きたかったことをレインに尋ねる



そうしないと、レインの優しさをどう受け取って良いのか解らないからだ



たんに餌として手懐けたいだけなのか



それとも本当に、優しい性格なのか



会って間もないレインの笑顔から、ジゼルは読み取れなかった




†