憂鬱ノスタルジア
「確かにジゼルの血と肉はヴァンパイアにとって最高のご馳走だ。
ヴァンパイアの中では、
ノスタルティと呼ばれる種族だからな。
その血や肉を喰らえば
大きな力を得ることが出来るらしい…」
「ノスタルティ…?」
ジゼルは初めて聞く単語に、きょとんとしながらも呟いてみる
「そう、ノスタルティ。
血と肉を意味する単語らしいな
ジゼルのように、黒い髪に黄金の瞳。
これはその種族の特徴なんだ…」
長年手入れがなされていないはずなのに、黒く美しいジゼルの髪をレインは優しく撫でる
「私を食べるの…?」
ジゼルは、屈託のない瞳でレインを見上げて尋ねる
答えは解っているから怖くないのが不思議だ
しかしレインは、ジゼルを買ってから
ジゼルは喰らおうという考えはなかった
「俺は、ジゼルを食べたりしない」
「じゃあなぜ助けてくれたの……?」
あそこで買ったという行為は、少女を鳥籠から助けたということになるのか…と
レインは心中思ったが
その理由は見つからなかった
「たいした理由はない。
ちょっと興味が湧いただけだ」
「でも―………」
そんな理由では納得出来たいといいたげに、レインを見上げたが
レインは苦笑しながらも、ベッドにいたジゼルを抱き合げた
「ほら、話は一旦終わりだ。腹が減っただろ?」
†