憂鬱ノスタルジア
「ほら、好きなだけ食え…」
ダイニングらしい大きな部屋に着くと、レインは椅子の上にジゼルを下ろし座らせる
長方形の長いテーブルには、ジゼルの見たことのない様々な料理がたくさん並んでいた
─どうしようッ……
何から手を付けて良いのか解らずジゼルが困惑していると、1人の女性が入って来た
「コーヒーをお持ち致しました。」
「ああ、ありがとう。
ジゼル、彼女はマリア
君の食事や身の回りの世話をしてくれる」
「マリアです。宜しくお願いします」
シンプルなメイド服に身を包んだマリアは、姿勢良くジゼルに頭を下げる
慌ててジゼルも小さく頭を下げるが
笑顔を浮かべるわけでもなく無表情なマリアに、少し不安な気持ちになる
何から食べようか迷ったジゼルだったが
目の前の皿に沢山盛られている、赤い小さな果物が気になりそっと手を伸ばした
「イチゴが好きなのか?」
一番始めに手を伸ばしたのがイチゴだったため、
何気なくレインは聞いたのだが
慌てて手を下ろしたジゼルの様子に、自分でも気づかぬうちに笑みを浮かべた
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