憂鬱ノスタルジア


「ほらジゼル、
ちょっと口を開けろ」


「…………?」


困った様子で俯いたままだったジゼルも


レインの言葉にきょとんと首を傾げながら

おずおずと、小さな口を開く





するとレインは、口の中へイチゴを入れてやった



「うまいか……?」



「んッ、おいちい…」



少し驚いた表情浮かべたジゼルも、イチゴの甘味に思わず笑顔浮かべて呟く



「そうか…」



ようやく笑ってくれたことに安堵したレインも、

フッと笑ってコーヒーに口を付けた











そんなジゼルとレインの様子を



扉の隙間から覗いている人物が2人




「何だか微笑ましいですね……」




「ああ?
ご主人は、あの小娘のどこがいいんだよ
さっさと食っちまえばいいのに…」





興味本位で覗いているスノウと、未だ猫の姿にされ怒っているノワール




「あんなに優しい顔をした、ご主人さまは初めて見ますよ…」



スノウは、この先の未来を想像し良い方へと向かうことを密かに願う





誰にも内緒で。




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