憂鬱ノスタルジア


「何だよ、人の顔ををジロジロ見やがって…」


「ノワール、言葉遣いに気をつけなさい。
小娘ではなくジゼル様ですよ?

またレイン様に子猫にされたいんですか…?」


「うるせぇスノウ
てめぇは俺の母親か!」

「そうですね…
教育係とでも言いましょうか…」


「だまれ!この狼男!」



2人のやりとりをポカーンとした表情でジゼルは眺めていたが


どうやら2人の仲は悪いようだ

スノウがノワールより一枚上手で、からかっているようにも見えるが


とにかくノワールは不機嫌だった



「このお屋敷には…他に人はいないの…?」


何となく場の雰囲気が悪くなったため、ジゼルは話しを変えようと慌てて尋ねる



「えぇ、ここには私たちしかおりませんよ?

他の屋敷に行けば、ヴァンパイアのメイドや執事もおりますけど…」





ヴァンパイアの屋敷に使えているのは

もちろん下層ヴァンパイアのメイドや執事だ

しかし人間の…さらに狙われやすい"血と肉"を持ったジゼルが、そんな場所にいたら大変なことになる

だからレインはわざわざ、人間界に近いこの場所を選び


信頼できる部下以外は置かなかった




そのことをジゼルに話せば、怖がってしまうと思いマリアはそれ以上は言わない





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