憂鬱ノスタルジア



「マリアさんや…スノウさん、ノワールさんは…ヴァンパイアじゃないの………?」

相変わらず無垢な少女は不思議そうに首を傾げて尋ねる



「私達を、さん付けしないで大丈夫ですよ?」


ジゼルの言葉に、クスクスと笑い声を上げたスノウは

ジゼルの目線に合わせようと小さく屈み優しく説明をする


「ジゼル様、

私たちは"使い魔"と呼ばれる者です」


「つかいま…?」


「レイン様との契約により結ばれている魔物のことです。

私たちは契約することに、誇りを持つ種族なのですよ」



「昨日、黒い豹の姿を見ただろう?

あれが俺の本来の姿。

スノウは大狼、マリアは鳳凰が本来の姿

俺達は契約することで人間の姿になれるんだ」



一方のノワールは、どこか嬉しそうに言う



ジゼルは驚いたような顔をしたが、3人がヴァンパイアではないと知り

内心 ホッとしていた












「ジゼル、行くぞ」

ようやくレインが玄関に来れば、ジゼルはマリアに上着を着させてもらう


お礼を言ったジゼルにマリアは首を左右にふり、表情は変えなくとも優しい眼差しを向ける



そしてレインと共に馬車に乗り込み、ノワールが馬車を運転して屋敷を出た



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