憂鬱ノスタルジア
「え―……?」
「つまらない、と言ったんだ。聞こえなかったか…?
もういい、出ていけ」
先ほどの優しい口調とは打って変わり
冷たい口調
冷たい視線
「し、失礼しました…!」
明らかに怒りを含んだ雰囲気に気づいたメイドは、慌てて部屋を出て行く
パタンと静かに扉の閉じられた部屋は静寂に包まれた
溜め息を吐きながらも
レインはコップに入った水を一気に飲み干す
「ダメだな……」
しかし乾ききった喉は潤わない
それから暫くすると
不意に慌てた足音が聞こえ、扉が数回ノックされる
「レイン様」
「どうしたスノウ。」
ベッドに横になり読者をしていたレインは、ゆっくり起き上がってスノウを見る
白い燕尾服に身を包んだスノウという青年は、部屋に入ってくると
とても申し上げにくい表情を浮かべていた
「レイン様、シリウス様がまた"闇市"に行こうと訪ねて来てますよ…」
「あの馬鹿が…。
わかった、直ぐに行く」
またか…と心中呟いたレインだったが、ラフなスーツ姿に着替え
部屋を出て行く
†