憂鬱ノスタルジア
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今日の月はやけに明るい
それが不気味だと、少女は思っていた
まだ15にも満たない年齢であろう、幼さが見え隠れしている
この国では滅多に見られない、夜空に溶けそうな漆黒の長い髪
そして金色の大きな瞳
この容姿が何を物語っていたかなんて、少女は知る由もない
ただ自分を囲う鳥籠の隙間から月を眺めていた
「おい、そろそろ行くぞ」
ぼんやりしていれば不意に声を掛けられ、慌てて意識を戻す
─これから売られちゃうのかな―……
わずかな不安を残して
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