POP☆BEAT
「メット……黒しかないや。これでいい?」
「ああ、うん。誰の?」
歩夢からメットを受け取って、被る。
さり気無く聞いた質問に、なかなか返事が
帰ってこないから、地雷だったのかな。と
不安になったけど、メットを被った歩夢が
ハハッ、と笑い「姉貴の」と短く答えた。
「優梨の家どこ?」
「みどり公園の前」
「了解……っておい」
なかなか出発しないバイクに溜め息を吐いて
いたら歩夢が勢いよく振り返った。
「腰に手回して。落ちても俺知らねぇよ?」
脅し文句のような言葉にビビッたあたしは
緊張しながらも歩夢の腰に手を回した。
温かい、歩夢。
柑橘系の香水の香りが落ち着く。