プラチナの誘惑




日付もとっくに変わったっていうのに、大通りを走る車は結構多くて。
速度を上げて、早く家まで送って欲しい私の気持ちは叶いそうにない。

歩道を歩く人も少なからず。

週末の夜なんて関係のない地味な生活を送っている私には新鮮に感じられて、ぼんやりと流れていく景色を見ていた。

「眠いなら寝てていいぞ」

ふと我に返ると、運転席から昴の優しい声と視線。
信号待ちの合間、片手をハンドルに置いたまま、もう片方で私の頬に触れると。

「着いたら起こしてやるぞ。…どうした?」

「…え?」

「そんなに見つめられても困るし。
今運転してるから後でな」

「な…何…見つめてないしっ。
眠くもないから…」

「…ふーん」

くくっと笑いながら、私の首筋にかかっている髪をそっと後ろに流すと。

「消えてるな。また印つけとかないとな」

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