プラチナの誘惑
「もう、あんな恥ずかしい時間嫌だからね」

首筋を両手でガードしたまま、言い切る私。

「…なあ」

運転しながら、急に低い声を出す昴を見上げると
ちょっと口元を引き締めた真面目な顔があった。

「…見えない所ならいいのか?」

「…は?」

「俺しか見えない所なら
いいって事?」

前を見据えたままの昴の口調はかなり真剣で、そっと見上げた私を見ないまま。

「…昴…?」

「誰にも見られないキスマークつけに、俺の部屋?
彩香の部屋?
ホテルでもいいけど」

「…何言ってるの。
わ…私がそんなのOKするわけないでしょ…」

あわてふためいて叫びに近い声で何とかそう言っても、急に激しくなった鼓動はおさまる気配もなく。

「…訳わかんない…」

半泣きにも近い声が出てしまう。
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