プラチナの誘惑
「今まで私の事だけを
一番に大切にしてくれる人なんていなくて。

諦めてたのに。

昴が…捨ててた期待を
私にさせたから…

それなのに、私は…
やっぱり誰かの次…代わりって…

狡いし…ひどい…

期待なんて、その気になんてさせないでよ」

涙声のままの彩香が睨むように俺を見つめる…

彩香の言葉の意味はよくわからないままで、どう受け止めるべきなのかがわからないけれど。

「俺の事…期待した?
好きなの?」

泣いてる彩香には悪いけれど、ニューヨークで見かけた瞬間からずっと願っていた想いが…

俺を見つめて欲しいという願いが届きそうで、体中が温かく満たされていく…。

「なあ…どんな期待…?それに、誰かの代わりってどういう事?」

近くにあったティッシュを箱ごと渡して、彩香を体ごとソファから引きずりおろして。

「…っ。昴っ。何するの…」

俺の膝に座らせた彩香をぐっと抱きしめて

「…言えよ。代わりって何だよ」
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