プラチナの誘惑
揺れる揺れる




小椋さんの車に乗せてもらって、買い出しに行くお店に直行した。
一旦昴のマンションに行くつもりでいたけれど、思ったより遅くなったから、電話でそう伝えた。

夕べの記憶がまだはっきり残っている身体の疼きを感じながら、どんな声で話せばいいのか戸惑う気持ちを隠して

「今からお店に直接行くから。昴も来て」

必要な事だけを伝える私に、何となく機嫌の悪そうな声。

『わかった。一階のカフェで待ってるから』

昴も必要な事だけを言っただけでさっさと電話を切った。

後悔してるのかな…。
夕べ私を抱いて、落ち込んでるのかな。

初めての私にはただ…昴の熱に溺れるしかできなかったから…。

私の身体じゃ満足できなかった…?

普段は見せない弱気な昴の言葉や瞳が私の心を捕らえて離さなくて、昴に恋してしまった自分の気持ちはもう…。
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